「退職金なし やめとけ」
求人票の待遇欄に「退職金:なし」の文字を見つけたところだと思う。
先に、この記事でいちばん具体的な数字を1つ出しておく。
0円。
「退職金あり(3年)」と書いてあった会社で、俺が丸3年勤めて出た額だ。
求人票通りに信じて3年働いて、この結果だった。
逆に、「退職金なし」と書いてあった別の会社では、40万出た。
先に結論を書く。
求人票の「退職金あり/なし」は、出るかどうかを保証しない。
だから気にしなくていい、という話をこれから書く。
先に答える。丸3年勤めて、退職金は0円だった
これは1社・3年分の話だ。
4月入社、3月末退社の丸3年。物流会社の配車として働いた。
この会社は求人票に「退職金あり(3年)」と書いてあった。
それでも、俺の口座には1円も入らなかった。
求人票には「あり(3年)」と書いてあった
最初に、俺がどれだけ信じ切っていたかを書いておく。
- 求人票に「退職金あり(3年)」と書いてあった
- 就業規則にも同じ記載があった
- 入社時の説明でも同じことを言われた
- 同僚に聞いても「出る」という話だった
求人票だけじゃない。4つとも、全部同じことを言っていた。
だから疑う理由が無かった。
求人票の1行だけなら、話半分に聞くこともできる。でも就業規則という会社の正式な文書にも同じことが書いてあった。
入社時の説明でも念押しされ、すでに働いている同僚に聞いても「出る」という答えが返ってくる。
ここまで一致していたら、疑いようがない。
入社前にこの条件を見たとき、頭に浮かんでいたのはこれだ。
「物流時代の当時は、ない とかは考えられない、とは思っていた。でも今は何とも思わない。」
当時は当たり前だと思っていた条件が、いまはどうでもいいことになっている。この変化が、この記事でいちばん言いたいことにつながる。
在職中は「いくら出るんだろう」とは思っていた。額を計算したことはなかったが、期待はしていた。
辞めるとき、説明はされたけどよく分からなかった
3年勤めて、辞めることを決めた。
退職の手続きのなかで、退職金のことを聞いた。
説明はされた。でも、正直よく分からなかった。
頭に浮かんだ可能性は、2つあった。
- 3年より多く在籍しないといけなかったのか
- 仮雇用期間のあと、ある時期(7月1日あたり)を過ぎていないといけなかったのか
結局、どちらだったのかは分からないままだ。
もう一歩踏み込んで聞くこともできた。でも、しなかった。
そこで食い下がって、元上司に悪く思われるのも嫌だった。
正直に言うと、金額そのものにはそこまでこだわっていなかった。
- 元々、寸志くらいしか出ないだろうと思っていた
- 退職金が出るタイミングに合わせて辞めたわけでもなかった
だから、そこまで気にしなかった。
ただ、出るかもとは期待していた。その期待があった分だけ、この結果は残った。
そのとき思ったことを、そのまま書く。
「相変わらずクソだな。やっぱ辞めて正解だったわ。」
退職金は「あれば必ず出る」制度じゃない
あとから調べて知ったことを書いておく。
退職金は、法律で必ず用意しなければいけない制度じゃない。会社が就業規則で自由に条件を決めていい制度だ。
勤続年数・自己都合か会社都合か・懲戒の有無など、条件は会社によってバラバラで、規定の中に細かく書かれている。
求人票の「あり」「なし」の2文字は、その細かい条件を何も表していない。
俺の場合、それが在籍年数の話だったのか、時期の話だったのかも、最後まで確認しなかった。
ただ、少なくとも「あり」の2文字だけでは何も保証されていなかった、という事実だけは分かった。
同僚は7年働いて10万だった
その後、同じ会社にいた同僚が辞めた。
聞いた話では、7年働いて10万だったらしい。
⚠️ ここから先は伝聞だ。俺自身の数字ではないので、参考程度に読んでほしい。
それでも、聞いたときに思ったことはある。
「少なすぎでしょ」
3年で0円、7年で10万。金額の大小はどうでもいい。どちらも「制度としてある」割に、実態が伴っていなかった。
俺一人だけの話なら「たまたま」で片付けられたかもしれない。でももう一人、似たような話が出てきた。
求人票や就業規則に書いてあることと、実際に辞めた人が受け取った額の間に、それだけの開きがある。この会社ではそれが1回きりのことじゃなかった。
その後、「なし」と書かれた会社で40万もらった
物流会社を辞めたあと、俺はIT企業に転職した。
この会社の求人には、「退職金制度はない」と書いてあった。
だから、最初から期待していなかった。
4年勤めて辞めるとき、思わぬ額が振り込まれた。
40万くらいだった。
⚠️ この記事は、その後の仕事の中身までは書かない。「なし」と書いてあった会社で40万出た、という事実だけを置く。
出ないと思っていたので、そのとき思ったことはこれだ。
「素直に嬉しかった」
少ないとは思わなかった。期待していなかった分、まるごとプラスに感じた。
ちなみに、この会社はボーナスが出なかった。
物流時代はボーナスがあって退職金がなく、この会社はボーナスが無くて退職金があった。逆の組み合わせだった。
ボーナスが無かった側の話は別の記事に書いている。
求人票の「あり/なし」は、出るかどうかを保証しない
ここまでの2つを並べる。
- 「あり(3年)」と書いてあった会社で、丸3年勤めて0円
- 「なし」と書いてあった会社で、4年勤めて40万
記載と結果が、そっくり入れ替わっていた。
求人票の「退職金あり」は、出ることを約束する言葉じゃない。「なし」も、出ないことを約束する言葉じゃない。
どちらも、その時点での制度の説明でしかない。
気になる条件があるなら、経歴を見た人に「この会社は実際どうか」を聞いておくと、自分で判断するより早いです。相談だけで終えても大丈夫です。
もう一つ、気づかなかった失敗がある
退職金とは別に、当時気づかなかったことがもう一つある。
物流会社には企業型DC(企業型確定拠出年金)の制度があった。
入社時の研修で保険会社が来て、オリエンテーションをすると同時に加入する流れになった。
俺も同期も、そのままよく分からず選んで加入した。
何年か経って、運用成績を確認した。
元本割れしていた。手数料も高かった。
企業型DCは、会社が用意した商品の中からしか選べない。俺のところは、保険会社が用意した商品ばかりだった。
その中に、年率で数%の手数料がかかる商品が混ざっていた。
毎年数%というと小さく聞こえるが、何年も積み立てる話なので、積み上がった額から毎年削られていく。
そのとき思ったことを、そのまま書く。
「まじで萎えた」
当時の自分は、手数料をまったく見ていなかった。
いま思うことはこうだ。
「今は知識もついたから入んないだろうな。入るにしても手数料は絶対に気にした方がいい」
⚠️ この記事は投資商品を比較する記事じゃない。「当時は手数料を見ていなかった」という自分の失敗として、ここまでで止めておく。
この記事で言わないこと
「退職金なし」で検索すると、iDeCoやNISAを使って「自分で退職金を作る」方法を勧める記事がたくさん出てくる。
この記事では、そこには答えない。
- iDeCo・NISAの始め方
- いくら積み立てれば老後に足りるか
- どの制度・商品を選べばいいか
理由は単純だ。
俺自身、企業型DCで手数料を見ずに元本割れした側の人間で、資産形成を語れる実績が無い。
書けるのは、「あり」と書いてあった会社で0円、「なし」と書いてあった会社で40万だった、という実体験だけだ。
じゃあ、退職金なしの会社に入っていいのか
答えを書く。
出るに越したことはない。でも、それだけを理由に入る・入らないを決める必要はないと思っている。
「退職金なし」と書いてあるだけで、その会社を外すのはもったいない。
終身雇用で一生いるわけでもない。それなら、給与や待遇がいい会社に入った方がいい。
見るべきは、退職金の有無じゃない。
- 毎月の給与(退職金より、生活に直接効く)
- 休日・残業・手当などの待遇
- 「あり」と書いてあっても、実際に出るとは限らない(俺のように)
「退職金が出るから」と言っても、どのくらい出るかは未確定だ。俺の同僚のようなことも、普通にあり得る。
数字で考えるとわかりやすい。
仮に、退職金が100万円出る会社があったとする。毎月の給与が2万円低ければ、4年で96万円の差になる。5年なら120万円だ。
退職金より、毎月の給与の差の方が大きくなることは、普通にある。
退職金を気にした方がいい人、気にしなくていい人
全員に「気にしなくていい」と言うつもりはない。分かれ目を書いておく。
気にした方がいい人
- 定年まで同じ会社に勤め上げるつもりがある(俺のように途中で辞める前提なら、影響は小さい)
- 大企業で、実際の支給実績が調べられる(中小は俺のように、実態が求人票だけでは読めないことがある)
- すでに勤続年数が長く、規定上の受給条件に近い(近いほど、条件の細部が効いてくる)
気にしなくていい人
- 転職を前提にしている、または今後もキャリアを変えていくつもり
- いまの生活費の方が切実(退職金は何年も先の話。毎月の給与の方が今すぐ効く)
- まだ勤続年数が浅く、受給条件そのものに届いていない(俺の3年目もここだった)
俺は後者だった。だから退職金の有無より、給与と待遇を見ればよかったと、いまは思っている。
退職金の実績そのものが気になるなら、面接で人事に直接聞くという手もある。
すべて答えてくれるとは限らない。それでも、聞くこと自体はマイナスにならない。俺は聞かずに入って、あとから知ることになった。
いま、何を確かめるか
退職金の有無で迷っているなら、確かめる順番がある。
確かめる順番は4つ
① 社内で確認する
いまの会社(か、いま見ている求人)の給与と待遇を、あらためて確認する。
- 毎月の給与は、いまの生活に見合っているか
- 休日・残業は、無理のない範囲か
- 退職金制度は、あるかどうかだけでなく実績があるか(同僚に聞けるなら聞く)
ここまでは、いまいる場所で確かめられる。
② 求人を見てみる
リクナビNEXTあたりで、退職金以外の条件がどう並んでいるか、軽く見ておく。
応募しなければ何も起きない。まずは眺めるだけでいい。
③ 市場価値を確認する
ミイダスの無料診断で、自分の経歴がいまどれくらいの水準か見ておく。
人に会うのが重い人はここまででいい。
④ エージェントに相談する
②③は自分で見る作業だ。それでも最後に1つ残る。
いまの会社が、実際どうなのか。
求人票や口コミだけでは分からないことを、経歴を見た人に直接聞ける。
俺が使ったのはリクルートエージェントだった。
この4つをやると、退職金の有無より、確かめるべきことがはっきりする。
俺は「あり」の会社で0円、「なし」の会社で40万だった。求人票のその1行に、振り回されなくていい。
無料の診断で、いまの経歴がどれくらいの水準か数字が出ます。退職金の欄で迷う前の物差しとして使えます。
固定残業込みで手取りがどう動いたかは昇給しない会社にいた3年間に、同じ3年間の別の切り口として書いている。エージェントを使うかどうかで迷っている人は物流からの転職でエージェントはどれを使うかも見てほしい。
まとめ
- 「退職金あり(3年)」の会社で、丸3年勤めて0円だった。理由はいまも分からない
- 「退職金なし」の会社では、40万出た。求人票の記載と、結果が逆だった
- 求人票の「あり/なし」は、出るかどうかを保証しない。会社が就業規則で決める条件次第だ
- だから、それだけを理由に入る・入らないを決めなくていい。見るべきは毎月の給与と待遇
いま思うと、当時の俺は求人票の「退職金あり」を見て、なんとなく安心していただけだった。中身を確かめようとはしなかった。
退職金の欄で迷っているなら、その1行より先に、給与と待遇を確かめてみてほしい。