「物流の総合職、きついな」
そう思って検索したなら、たぶん当たってる。
俺も3年やって、同じことを毎日思ってた。
週6日勤務。土曜休みは月1回。
有給は年5日、しかも会社指定日のみ。
休みの日でも普通に電話は鳴る。
ただ、この記事は「つらいよね、わかるよ」で終わる話じゃない。
それを読んでも、明日の朝また同じ職場に行くだけだからだ。
書きたいのは辞めるべきか、続けるべきかを自分で決めるための材料。
3年やって実際に辞めた人間の、判断の中身をそのまま置いていく。
結論から言う。
俺は3年で辞めた。そして年収は87万円下がった。
そこから元の水準に戻るまで、丸4年かかっている。
それでも辞めてよかったと思ってる。
ただし「辞めれば楽になる」とは口が裂けても言えない。その理由も含めて書く。
物流総合職がきついと言われる4つの理由
物流総合職はデスクワーク中心だろう、と思って入った。
初日から違った。
先に断っておくと、これは特定の会社の愚痴じゃない。
4つとも業界の構造から来ているので、会社を変えても付いてくる可能性が高い。ここが後の判断に効いてくる。
① 総合職なのに、現場に出る
入社して最初の夏。
俺は12メートルのコンテナの中にいた。
中は40℃超え。
30kgの荷物を、手で卸す。
「総合職ってこんなことするんだっけ?」
そう思いながら、汗だくで荷物を運んでた。
スーツを着るのは営業がある日だけ。基本は作業着と、つま先に鉄板が入った安全靴だ。
人手不足の業界だから、足りなければ総合職が入る。
フォークリフトの免許も取らされた。倉庫の在庫整理も、仕分けも、配送の手伝いもやった。
物流はブルーカラーだけど総合職はホワイトカラーでしょ、と思ってた。
全然違った(笑)
しかも現場に出た日も、事務所の仕事は減らない。
戻ってから配車を組み直すので、単純に1日が伸びる。
この現場作業の中身だけを切り出したのが物流倉庫がきつい5つの理由だ。
40℃も30kgも、平日と土曜では別の倉庫の話になる。
② トラブルの謝罪は、全部こっちに来る
配送の遅延。誤配送。商品の破損。車両事故。
物流にトラブルはつきものだ。
そして頭を下げるのは、いつも総合職だった。
取引先からは「代わりの便はいつ来るんだ」と詰められる。
ドライバーからは、こう言われる。
「こんな配車じゃ間に合わねーよ、馬鹿か」
自分のミスじゃないことの方が多い。
渋滞も、機械の故障も、こっちにはどうしようもない。
それでも謝る。両側から挟まれて、ただ謝る。
体力は寝れば戻る。
この板挟みは寝ても戻らない。先に削られるのは、いつも精神の方だった。
この頃どんな精神状態だったかは物流業界はやめとけ?「負け組」なのかに書いた。あわせて読むと温度が伝わると思う。
③ 休みの日も、電話が鳴る
物流は止まらない業界だ。
取引先は企業だから土日は休みだろう、と思ってた。普通に動いてた。
俺の1週間はこうだった。
- 稼働は月〜土。休みは日祝のみ
- 土曜休みは月に1回あるかどうか
- 定時は10〜19時。ただし定時で帰るには上司への引き継ぎが必要
- 残業は実働30時間あっても、申請できるのは20時間まで
- お盆と年末年始は「会社休み」扱いだが、実質は有給の消化
そして休みの日も、私用の携帯が鳴る。
「XXが運んできた荷物、倉庫の中になくてどこにあるか知ってる?」
「ちょっと連絡とってくれや」
出なければいいと思うかもしれない。
でも月曜に荷物が止まるのは分かってるので、結局出る。
気づいたら「最後に誰かと遊んだの、いつだっけ」と考えてた。
ちなみに、いつも定時で帰る先輩が一人だけいた。
その人は周りから「やる気がない」と思われてた。
定時で帰る=やる気がない。
その空気が、疑われもせずに残ってる職場だった。
休みの日に鳴るこの電話が何の電話なのかは、運行管理の仕事がきつい5つの理由に書いた。
配車と運行管理を1人で持つと、こうなる。
④ どれだけやっても、年収が上がらない
これが一番きつかったかもしれない。
昇給は基本給に月7,000円。
現場の応援にどれだけ入っても、休日に電話を取っても、そこは1円も変わらない。
年功序列も根強い。成果を出しても、上司より先に上がることはない。
評価の基準も曖昧なまま、年数だけが積み上がっていく。
そして先輩を見れば、10年後の自分がだいたい分かってしまう。
それが一番こたえた。
それでも「きつい=辞めるべき」ではない
ここまで書いておいてなんだが、きついからすぐ辞めろとは思わない。
実は俺、1回目の転職活動で内定をもらったのに辞退してる。
ITインフラ系の会社だった。
辞退した理由はひとつ。
面接で「毎月30人くらい入社があります」と言われたからだ。
そんなに人手が足りないのか、それとも辞める人が多すぎるのか。
どちらなのか分からなくて、正直こわくなった。
当時のエージェントには「そんなことないですよ。私の知り合いも働いてますが、今でも頑張ってますし」と言われた。
それでも信用できなかった。
結局そこから半年、物流を続けた。
あの半年は無駄じゃなかったと思ってる。「本当に業界ごと変えたいのか」を考える時間になったからだ。
勢いで辞めていたら、たぶん次でも同じことを繰り返していた。
だから判断軸を3つ置いておく。俺が実際に使ったものだ。
判断軸①:不満の原因は「会社」か「業界」か
ここを分けないと、転職しても同じことになる。
上司が合わない、給料が相場より低い、社内の制度が古い。
これは会社の問題だ。同業他社に移れば解決する可能性がある。
一方で、休みの日に電話が鳴る、トラブル対応で予定が崩れる、人手が足りず現場に出る。
これは業界の構造だ。会社を変えてもついてくる。
見分け方は単純で、「この不満、同業の他社なら無くなるか?」と自分に聞いてみればいい。
答えがノーなら業界の話だ。
俺の場合は全部ノーだった。
だから業界ごと変えるしかなかった。
判断軸②:10年上の先輩を見て、そうなりたいか
これが一番手っ取り早い。
その人の働き方が、10年後のあなただ。
年収も、休みの取り方も、家庭の状況も、だいたいそうなる。
うちの職場だと、10年上の先輩は同じように休日に電話を取っていた。
役職は付いていたが、やっていることは変わらなかった。
「あの人みたいになりたい」と思えるなら、続ける価値がある。
思えないなら、その理由を言葉にしてみるといい。それがそのまま動く理由になる。
判断軸③:今の年齢
これは冷たい話だが、事実なので書く。
未経験で業界を変えるなら、若いほど有利だ。
20代なら「わからないので教えてください」が通る。30代半ばを過ぎると、それが通りにくくなる。
求人票の「未経験歓迎」も、実際は年齢で線が引かれていることが多い。
応募の段階で選択肢の数がはっきり違う。
俺は3年目、25歳で動いた。
正直、もっと早くてもよかったと思ってる。
辞めた結果、年収は87万下がった
正直に書く。
俺は物流3年目で年収400万だった。転職先の1年目は313万。
87万円のダウンだ。
入ったのはSESの会社だった。
そして、ここからがなかなか上がらなかった。
手取りは20万。家賃が7万。
物流時代は社宅で自己負担5,000円だったから、この差がそのまま効いた。
休みはある。土日も祝日も、ちゃんと休める。
でも金がない。
外食はほとんどしなくなった。
誘われても回数を減らした。
時間はあるのに、使う金がない。
暇な貧乏人。あの4年間を一言でいうとそれだった。
物流時代とは別の種類のしんどさだ。
体は楽になったのに、財布を見るたびに気持ちが沈む。
年収が元に戻ったのは、丸4年働いた5年目だった。
物流3年目の400万に、ようやく追いついた。
4年かけて、スタート地点に戻っただけ。
「このままじゃ一生貧乏なままだ」
そう思って、俺はもう一度転職活動を始めた。
そして次の会社から提示された年収を見たとき、初めてIT業界に来てよかったと思えた。
物流を続けていたら、到底届かなかった金額だったからだ。
その2回目の転職の中身は長くなるので、物流からの転職方法|物流→SE→ITコンサルで年収600万円に書いている。
ここで言いたいのは、戻るまでに4年かかったという事実の方だ。
だから、年収が下がる可能性は本気で計算しておいた方がいい。
毎月いくら使っていて、最低いくら必要なのか。ここを調べずに動くと、俺と同じ4年を過ごすことになる。
短期で見れば、完全に損だ。
長期で見て初めて得になる。その間を耐えられるかどうかは、先に考えておいた方がいい。
ひとつだけ救いがあったとすれば、物流でやってきたことが無駄にならなかったことだ。
ドライバー、客先、上司。毎日いろんな相手と話して調整してきた経験は、そのまま使えた。
電話対応すらまともにできない人が、この業界には意外といる。年上でも(笑)
動くなら、今日やることは1つでいい
いきなり辞表を出す必要はない。
俺も内定を辞退して、半年迷ってから動いてる。
ただ、何もしないと何も変わらないのも事実だ。
在職中なら、求人を眺めるところからでいい。
「こんな条件の仕事があるのか」と知るだけで、今の職場が普通じゃないことに気づける。
俺が物流にいた頃は、週6日も休日の電話も「そういうもの」だと思ってた。
おかしいと気づいたのは、外を見てからだ。
比較対象がないうちは、しんどさの正体すら分からない。
まずはそこからでいい。
どんな職種に行けるのかを先に知りたいなら、物流からの転職先おすすめ7職種にまとめてある。
もう少し踏み込むなら、エージェントに話を聞く手もある。
俺が2回目の転職で年収を大きく上げられたのは、エージェントの一言がきっかけだった。
「その経験なら年収は上がりますよ」と言われて、初めて自分の市場価値を疑わなくなった。
4年間ずっと「自分にはこの程度の価値しかない」と思い込んでいた。
それが他人の一言で崩れた。
自分ひとりだと、どうしても安く見積もってしまう。
そこは他人に見てもらった方が早い。
どのエージェントに話すかで迷うなら、【物流】転職エージェントおすすめ比較に俺が使ったところを並べてある。
物流から出る前提で選んでいるので、そこだけ見てもらえればいい。
まとめ
物流の総合職はきつい。これは気のせいじゃない。
現場に出て、板挟みで謝って、休みの日も電話が鳴って、それで年収が上がらない。
3年やった俺が言うんだから、たぶん合ってる。
ただ、辞めるかどうかは別の話だ。
不満の原因が会社なのか業界なのか。10年上の先輩を見てどう思うか。いま何歳か。
そこを整理してから決めればいい。
俺は年収を87万下げて業界を変えた。
元に戻るまで4年。その間は「暇な貧乏人」だった。
だから軽々しく「辞めれば楽になる」とは言わない。
実際、辞めた直後の方がしんどい時期はあった。
それでも、あのまま続けていたらと考えるとゾッとする。
3年目の俺には、10年後の自分がもう見えてしまっていたから。