先にいちばん具体的な数字を1つ出しておく。
拠点で配車ができる人間は、実質1人しかいなかった。
俺だ。
上司もやろうと思えばできた。でも「営業が忙しくてできるというだけ」で、
毎日実際に回していたのは俺だけだった。
「配車係 向いている人」で検索したってことは、
これから配車の仕事に就くのか今やっていてしんどいのか、どっちかだと思う。
先に答えを言っておく。
向いているかどうかは4つの特徴で分かる。
俺は3年やって、仕事の中身は向いていた方だと思う。
それでも友達に「配車係をやろうと思う」と相談されたら、こう言う。
「まじでやめとけ。他にもいい仕事はある」
向いている人・向いていない人の特徴と、
3年やった俺がそれでも「やめとけ」と思う理由を、両方書く。
先に:この記事で言う「運行管理」「配車係」の範囲
「運行管理」と「配車」は、求人票だと別々に書いてあることがある。
でも現場だと分かれていない。配車という仕事の中に、運行管理が入っている。
俺のいた会社では、この仕事をまとめて「配車」と呼んでいた。
実際にやっていたのはこの範囲だ。
- 乗務員へのその日の配送指示・集荷指示
- 翌日・週次・月次の配車表の作成
- 配送指示書の作成
- その荷物が運べるかどうかの可否判断
- 新規の配送先のルート確認・搬入口の確認・そもそも車両が進入できるかの確認
- 乗務員ごとの運行管理・収益管理・労務管理
- 車両ごとの車検・3ヶ月点検の管理
- 自社倉庫への卸しがある日は荷下ろし作業の手伝い
これが全部1人に乗る。
呼び方は会社によって変わるので、ここから先は「運行管理」「配車係」を同じものとして書く。
配車係に向いている人の特徴4つ
向いているかどうかは、体力でも要領の良さでもない。
3年やって、この4つだと思う。
① 中断されても同じところから戻れる人
配車を組んでいる最中でも電話は何度も鳴る。
組みかけの配車表を開いて5分で電話。
戻ってきて続きから組む。
これができないと毎回イチからになってしんどい。
② 話が上手いというより、聞き上手な人
向いてるかどうかは結局、ドライバーとの関係で決まる。
話が上手い人より、聞き上手な人の方が向いている。うまくドライバーを転がせるかどうかだ。
ただし最初からできたわけじゃない。
1年目・2年目は、無愛想な相手だと普通に難しかった。
打ち解けたきっかけは、正直よく覚えていない。時間だったと思う。
2年目の終わりから、配送を終えたドライバーたちと喫煙室で話すようになった。
話す側じゃなくて聞く側だった。
話し相手ができて、仕事の辛さはマシになった。
③ パズルが得意な人
大量の荷物をどの車にどの順番で載せて、どこを回らせるか。
配車は毎日パズルを組んでいるようなものだ。
大量の配送を捌けた日は、ピースが全部はまった感覚がある。
(きもちいい。。楽しい。。)
これを楽しめる人は向いている。苦痛に感じる人は、たぶん毎日しんどい。
④ 嫌なことをすぐ忘れられる人
配車は毎日お願いする仕事だ。
急な変更を頼む。きつい便を頼む。断られても、もう一度頼む。
怒鳴られることもある。
でも怒鳴られた後も、その相手と話をしないといけない。
嫌なことがあっても、ケロッとしていないと仕事にならない。
配車係に向いていない人の特徴
4つを裏返すと、こうなる。
- 1つのことに集中して、最後まで仕上げたい人(電話で何度も中断される)
- 相手の話を聞くより、自分の段取りを通したい人
- 組み合わせを考えるのが苦痛な人
- 怒鳴られたことを次の日まで引きずる人
俺が一番しんどかったのも4つ目だった。
怒鳴り声の電話対応と、感情的なドライバーの対応。これはしんどかった。
向いていても削られる、運行管理の仕事がきつい5つの理由
向いていても、仕事の仕組みそのものに削られる部分がある。
3年やって分かったきつさの正体は、この5つだった。
① 電話が鳴り止まなくて、自分の仕事が一度も進まない
固定電話が光る。音が鳴る前にもう分かる。
(また電話。最悪)
そして音が鳴り始める。でも、周りは誰も出ようとしない。
(喋ってるくせに、なんで電話出ねーんだよ。。)
本来やるべきことは、さっき並べた通り10項目くらいある。
どれも頭を使うし、どれもまとまった時間が要る。
それを電話の合間にやる。でも、その時間が来ない。
遅延の連絡、積地の変更、荷主からの追加依頼、傭車の空き確認。
全部電話で来る。そして全部、今すぐ返事をしないといけない。
組みかけの配車表を開いて5分で電話。
戻ってきて、どこまでやったか思い出すのに2分。また電話。
(最悪。一旦落ち着け。。。)
そう自分に言い聞かせながら組み直す日が、普通にあった。
② ドライバーと荷主の板挟みになる
荷主は「今日中に運んでほしい」と言う。
ドライバーは「もう時間がない」と言う。
上は「傭車を使うな、コストが上がる」と言う。
全員が正しい。そして、全員を満足させる答えは存在しない。
どこかに無理を通すしかなくて、通した先から恨まれる。
しかもトラブルのときに謝るのは全部こっちだ。
到着が遅れそうだと分かった時点で、こっちから荷主に電話する。
遅延。事故。箱くずれ。
(なんで俺が?)
張本人は何食わぬ顔で会社に戻ってくる。
(少しは反省とか俺に何か言ってきた方がいいと思うよ。いい大人なんだから)
③ トラックが1台欠けるだけで、全部が崩れる
配車は積み木みたいなものだ。1台の予定が崩れると、その車が受け持つはずだった全部が宙に浮く。
当日、ドライバーが体調を崩した。車が故障した。
それだけで前日に組んだ配車は無になる。
他の車に振り分けられないか計算して、無理なら傭車を探す。1社ずつ電話をかける。
それでも見つからないと、最後は上司にお願いすることになる。(笑)
4t車は、上司の年代だと普通免許で乗れるからだ。昔は積載量の区分が違った。
申し訳ないと思いながら、こうも思っていた。
(ほんとラッキーだったわ)
一度聞いてみたことがある。
「今後のために、大型取った方がいいですか?」
返ってきたのはこれだ。
「やめとけ。俺みたいに配送させられるぞ。大型なんて取ったら遠距離も行かされる」
「そうなんですね。」それ以上は何も言えなかった。(笑)
この「いつ崩れるか分からない」感覚が、地味に一番削られる。
休みの日でも、ドライバーが出発する朝に電話が鳴る。
(最悪。まじで休みの日に電話かけてくんなよ。)
④ 残業の申請は月20時間まで
会社のルールで、1ヶ月に申請できる残業は20時間までだった。
実際には30時間くらい働く月もある。
超えた分は翌月に繰り越して申請していた。
しかもお盆と年末年始は「会社の休み」ということになっていたが、実態は有休を消化させられていた。
⑤ 昇給は月7,000円。当時は「まだいい方」だと思っていた
昇給は基本給に月7,000円。年に直すと8万4,000円だ。
正直、当時はこう思っていた。
(月7000円なら、まだいい方か。同期は5000円だったしな)
自社の中でしか比べようがなかったから、外がどうかは知らなかった。
でも今になって思う。少ない、と。
配車の経験は自分では言葉にできなかった
外がどうかを知らなかったのは給料だけじゃない。
配車でやってきたことが、社外で何と呼ばれるのかも知らなかった。
2回目の転職活動で、エージェントの担当者にこう言われた。
「コミュニケーション力とか調整力は活かせる。だから、そのエピソードを書いた方がいい」
40人の乗務員に指示を出して荷主に謝り、傭車を1社ずつ探す。
俺にとっては毎日の電話対応でしかなかった。
それが職務経歴書に書ける経験だとは、一人では思いつかなかった。
3年やった俺が、配車係は「やめとけ」と思う3つの理由
向いているかどうかと続けたいかどうかは、別の話だった。
俺がやめとけと思う理由はこの3つだ。
① 休みが増える未来が上司の姿に無かった
毎日会社に行って、休みは週1日。
その週1の休みも、仕事の電話をしていたり社内のゴルフに参加していたりした。
それが俺の上司だった。
上司には、家族がいた。小学生の息子もいると言っていた。
自分が小学生の頃、父親は土日祝が休みで遊んでくれていた。
このまま続けたら、自分が家族を持ったときに上司みたいな働き方になる。
それは無理だと思った。
しかもこれは、会社を変えても変わらない業界全体の問題でもあった。
辞めた理由は、金でも向き不向きでもない。
10年後、20年後の生活の形だった。詳しい経緯は配車から逃げた話に書いた。
② 嫌われ役も謝り役も、全部配車に来る
上で書いた通り、トラブルが起きたら荷主に謝るのは配車だ。
遅れても事故でも箱が崩れても、電話をかけるのはこっちになる。
そしてドライバーに無理を通すのも配車だ。
無理を言って、断られたこともある。
それでも「仕事だから」と言って、無理やり行かせたこともあった。
本当に行けないと言ったドライバーには——
次の日、また忙しい配送を組んでいた。
正直、やり返したところはある。
(みんな頑張ってんのに、お前だけ楽しようとすんなよ)
荷主には頭を下げて、ドライバーには無理を通す。
荷主にもドライバーにも嫌な役をやるのが、配車という席だった。
③ 代わりがいない
最初に書いた通り、拠点で配車ができるのは実質1人だった。
月曜が祝日でも、火曜の配車は組まないといけない。
荷物の情報が届くのは前日だ。だから月曜の夕方に1人で会社に行って組んでいた。
だから友達に相談されたら、こう言う。
「まじでやめとけ。他にもいい仕事はある」
続けるか変えるか。足りないのは「お金・人間関係・休み」のどれか
ここまで読んで「俺も向いている方だな」と思った人もいると思う。
だったら無理に辞めなくていい。
向いていて、今の仕事も悪くないなと思えるなら、続けるのも答えだ。
俺も1回目の転職活動では、内定を断って残っている。
① 足りないのが何なのかを1つに絞る
迷うなら、足りないものが何なのかを先に決める。
お金なのか。人間関係なのか。休みなのか。
俺は休みが欲しかった。
そしてそれは、会社を変えても変わらない業界全体の問題でもあった。
だから業界ごと、業種ごと変えた。
お金や人間関係なら、同じ配車の仕事のまま会社だけ変える手もある。
足りないものによって、動き方が変わる。
② 辞める前に、入社のときサインした書面を読み返す
入社してから会社の指示で資格を4つ取った。
運行管理者(国家資格)。危険物取扱者乙種4類。簿記。フォークリフト。
辞めるとき、どれも取得から3年経っていなかった。
だから4つぶんの取得費用をまとめて請求された。
(まじでありえん。ほんとクソだな。)
入社のときの書面には書いてあった。サインもした。
でも納得はいかなかった。
俺はまだ払って出られた方だ。
同期も辞めたいと言っていたが、半年前にトラックの免許を取らされていた。
その費用が結構したから、辞めたいのに辞められない。
退職するタイミングまで縛られていて、可哀想だった。
会社に取らされた資格があるなら、いつまでに辞めるといくら返すことになるのかを先に見ておく。
これは誰にも頼まずに今日できる。
③ 配車の経験を社外の言葉に直してもらう
変えると決めたら、次は上で書いたエージェントだ。
俺が一人で分からなかったのは求人の数じゃない。
毎日やっていた電話と段取りが、職務経歴書で何と書けるのかだった。
俺が相談したのはリクルートエージェントだった。
「調整力は活かせる」と言われたのは、ここの担当者だ。
④ 電話や面談がしんどいなら、求人を眺めるだけでいい
人と話すのがまだ重いなら、③は後回しでいい。
リクナビNEXTで、他社が「配車」「運行管理」をどんな条件で募集しているかを眺めるだけでも自分の会社しか知らない状態からは抜けられる。
俺が月7,000円を「まだいい方」だと思えたのは、同期としか比べていなかったからだ。
人と話さずに社外の物差しを1つだけ持っておくなら、これでいい。
まとめ
この記事で書いたことを順番にまとめておく。
向いているかどうかは、4つで分かる。
組みかけの配車表を電話で何度中断されても続きから組める。
ドライバーの話を聞いてうまく転がせる。
大量の荷物をどの車に載せるかを、パズルとして楽しめる。
怒鳴られた相手に次の日もケロッとお願いできる。
この4つに当てはまるなら、配車の中身には向いている。
逆に1つのことに集中して仕上げたい人や怒鳴られたことを引きずる人には、毎日が削られる仕事だ。
俺が一番しんどかったのも、怒鳴り声の電話と感情的なドライバーの対応だった。
向いていても、仕組みそのものに削られる部分がある。
誰も出ない電話を取り続ける。遅延や事故のたびに二回りも上の人の代わりに荷主へ謝る。
1台欠ければ前日の配車は無になり、傭車を1社ずつ探す。
残業は月20時間までしか申請できず、超えた分は翌月に回す。昇給は月7,000円だった。
それでも俺が「やめとけ」と言うのは、この席に座り続けた先が見えたからだ。
上司は週1の休みにも仕事の電話を取っていた。
荷主には頭を下げて、ドライバーには無理を通す。断ったドライバーに次の日も忙しい便を組んだこともある。
そして拠点で配車ができるのは実質1人。祝日の月曜でも、火曜の配車を組みに1人で会社へ行っていた。
続けるか変えるかは、足りないものが何かで決めればいい。
向いていて、今の仕事も悪くないと思えるなら、続けるのも答えだ。
お金や人間関係が足りないなら、配車の経験を持ったまま会社を変える手もある。
俺の場合は休みだった。それは会社を変えても変わらない業界の問題だったから、業界ごと出た。年収は87万下がった。
動くと決めたら、まずは入社のときにサインした書面を読み返す。
そのうえで、配車の3年が社外で何と呼ばれるのかを経歴を見た人に聞けばいい。
俺は「調整力は活かせる」と言われて、初めて職務経歴書に書けることがあると分かった。
物流から出るときに俺が実際に使ったエージェントは、物流の転職エージェントおすすめで比べている。