「ITコンサル やめとけ」で検索した人に向けて書く。
俺はいま、ITコンサル会社にいる。入って4ヶ月目だ。
先に、いちばん具体的な数字を1つ出しておく。
9割。
俺の1週間は、手を動かすのと調べるので9割が終わる。会議は1日30分の定例だけだ。資料作りもそこまで無い。
コンサルらしい仕事は、4ヶ月で1つもやっていない。
検索して出てくる「やめとけ」の理由を4つ調べて、自分の実感と突き合わせてみた。
結論から言うと、4つともほとんど当たっていなかった。
当たっていたのは、まったく別のところだった。それを最後まで書く。
「やめとけ」の4つの理由に、4ヶ月いた俺が答える
上位に出てくる記事を読むと、理由はだいたい4つに揃う。残業が多い。クライアントの経営に関わるプレッシャーがある。技術のキャッチアップが要る。要件が複雑。
順番に、俺の実感を書く。
① 残業が多い → 人による。俺はまだ少ない方だ
職位が上になればなるほど、仕事量は多い。それは見ていて分かる。
ただ俺はまだ少ない方だ。
毎日30分だけ残業している。理由は単純で、会社の終業が17時30分なのに、客先が18時までだからだ。そこに合わせているだけで、詰まって遅くまで残っているわけじゃない。
休日出勤は無い。
② クライアントの経営に関わるプレッシャー → 無い
これは4ヶ月で一度も感じていない。
うちは基本的にSIに注力している会社だ。経営に踏み込む場面が、そもそも来ない。
「ITコンサル」と名前が付いていても、やっていることがSIなら、経営のプレッシャーは掛かってこない。
③ 技術のキャッチアップが必要 → 要る。ただし俺はきついと思っていない
これは合う。合うけれど、きつさとしては受け取っていない。
初めてのことを学ぶのは、単純に楽しい。
業務外の勉強も、会社でUdemyが無料で見られるのでたまに見るくらいだ。7月から数えて視聴は140分。Javaと基本情報の勉強をしている。
毎日2時間やっている、みたいな話ではない。
④ 要件が複雑 → まだ経験していない。だから書けない
4ヶ月目の俺は、まだそこに立っていない。
経験していないことは書かない。ここは他の人の記事を読んでほしい。
当たっていたのは、4つのどれでもなかった
4つ並べてみて分かったことがある。
俺がしんどいと思っている場所が、この4つの中に1つも無い。
俺がつまずいたのは、労働条件でも、プレッシャーでも、技術の量でもなかった。
入る前に見ていたものと、入ってからやっていることの差だ。
しかもその差は、2段あった。
求人票を、いま読み返す
自分が受けた求人票をもう一度開いてみた。
タイトルはこうだ。「自社勤務【アプリエンジニア】自社会計システム導入・開発・運用保守」。
「コンサル」という言葉が、1度も出てこない。
仕事内容として書いてあったのは、要件定義から総合テストまでの設計開発。求人票に並んでいた使用言語はJavaとJavaScriptで、プロジェクトの人数は5名程度。
実際にいま俺が触っているのはJavaだ。
入る前から、中身はちゃんと書いてあった。俺が「ITコンサル会社」という看板の方を見ていただけだ。
必須要件も、いま読むとはっきりしている。「何らかの開発言語での設計開発経験、3年程度」。
俺に開発経験は無い。テストと要件定義とPM補佐で4年やってきた人間だ。
面接でここをどう話したかというと、こうだ。
- Javaで作られているシステムを扱っていた
- そのアプリの改修や、インターフェース先の仕様をまとめていた
- 今後は上流をやりたい。その前に開発現場を経験したうえで要件定義をしたい
嘘は1つも言っていない。ただ、求人票が求めている「設計開発3年」とは、明らかに別のものだ。
コードが書けないまま4年やってきた話は、プログラミングができないSEは辞めるべきかに全部書いた。
面接は2回。1次が現場責任者と人事で、2次が役員だった。
そこで言われたのが、「上流も活かせて、開発現場で経験も積める」だった。
そのとき思ったことは、いま思い出してもこれだけだ。
「自分の経験がないところだったので嬉しかった」
職種も業界も変えずに立ち位置だけ変えた、という話はSEに向いてない人の転職先に書いている。
入る前に想像していた1日と、実際の1週間
入る前、俺が想像していたITコンサルの1日はこうだった。
「お客さんと会話をして、客先常駐で、スーツを着てたくさん話す」
実際はこうだ。
- 手を動かすのと調査で9割
- 会議は1日30分の定例だけ
- 資料作りも、そこまで無い
もう少し細かく書く。
手を動かす。設計書を見る。分からなければCopilotに聞く。それでも分からなければ人に聞く。また手を動かす。
これをずっと繰り返している。めちゃくちゃ忙しい。
気づいたら定時になっている。時間があっという間に過ぎる。
⚠️ 残業が毎日30分なのは、暇だからじゃない。業務時間の中の密度が高いだけだ。
毎日定例があると知ったときは「毎日するの!?」とは思った。でも、引っかかったのはそこじゃない。
スーツを着て人と話す時間が、想像の10分の1も無かったことだ。
求人票に書いてあるのは、募集の幅でしかない
これは入る前の俺には分からなかった。
求人票に「上流も開発も」と書いてあるとき、それは募集の幅を書いているだけだ。
その幅のどこに自分が入るのかは、求人票を何回読んでも出てこない。
同じ会社の同じ求人でも、上流に行く人と、手を動かす人がいる。俺は後ろだった。
求人票では分からないものを、求人票の外で確かめるしかない。
その会社の実業務がSIなのか上流なのかは、求人票には出てきません。いまその現場に人を出している側なら、それを知っています。
聞くだけ聞いて、いまの会社に残るのでも構いません。登録しただけでは何も起きません。
どのエージェントを使うかで迷うなら、俺が使った3つと、使わなかった5つにそのまま書いてある。
配属されたのは、求人票に書かれた製品ですらなかった
ここからが2段目だ。
実際に配属された先は、求人票に書いてあった会計システムではなかった。
会社独自の開発フレームワークで作った業務アプリの、移行案件だ。
アプリのサーバー、DBのサーバー、バッチのサーバーがある。正直に言うと、俺はまだそれがよく分かっていない。
入社して最初の3日間は研修だった。
2週目までは案件先の端末が配られなくて、自社のフレームワークを触っていた。研修資料を自分で作るような内容だ。あとはキャリアの目標と、上期の目標を書いていた。
そのとき思ったのはこれだ。
「そんなことしてていいんだ! すごい会社だ」
文句として書いているわけじゃない。入る前に見ていたものと、入ってからやっていることは、2段ズレていたという事実を書いている。
「やめとけ」と言われる仕事を実際にやって検証した話は、「客先常駐はやめとけ」は本当かでも同じやり方をしている。
4ヶ月目の俺は、たぶんお荷物だ
いちばん正直なところを書く。
先輩の会話に出てくる言葉が、全然分からなかった。
「コミット。とかブランチ。SQLでインサートとか、あとなんか横文字。全くわからんかった。俺マジで今の所お荷物だな、、この先不安」
4年やってきたつもりだった。
でも俺が4年で積んだのはテストと要件定義とPM補佐で、開発の現場で毎日使われている言葉は、1つも入っていなかった。
この不安は、いまも消えていない。
それでも職位は、開発をやってきた人より上だった
入ってから知って、いちばん意外だったことを書く。
うちはチームの職位の区分を見ることができる。
それで分かったのは、自分より下の職位に、開発経験があって同じ言語でずっとやってきた人がいたということだ。
横文字が分からなくて焦っている俺の方が、入口の値段は上だった。
そのとき思ったのは、これだ。
「やっぱり、上流を詰めてるのとか、プロジェクトのマネジメントの経験を4年で積ませてもらったのはよかった」
⚠️ これは俺がいる会社の話だ。業界全部がそうだと言うつもりは無い。
ただ少なくともここでは、コードが書けないと値段が付かない、という話にはなっていなかった。
後悔していない理由は、1つだけ
正直に書くと、今のところ役に立てていない。分からないところばかりで不安になる。
それでも後悔はしていない。理由は1つだけだ。
給与が、望んでいた金額だから。
希望は500万だった。出たのは600万だった。ここに至るまでの年収の推移は物流からの転職方法に全部出している。
辞めようと思った瞬間は、4ヶ月で一度も無い。
これから、運用保守に回る
移行が終わったら、運用保守に回ることになっている。
前の職場では、エラーメッセージが出ても自分で解消できなかった。誰かに聞くしかなかった。
今度は一次受けだ。メッセージを見て、ソースを読んで、直す側に回る。
⚠️ まだ着任していないから、断定はしない。
ただ、いま分からなくて不安になっている横文字は、たぶんそこで埋まる。
開発現場を経験してから上流に戻りたい、と面接で話したことが、そのまま順番になった。
向く人と、向かない人
4ヶ月見てきた範囲で書く。
向かないと思う人
- コツコツできない人
- 新しいことをするのに抵抗がある人
- それを楽しめない人
向くと思う人
- 新しいことを楽しめる人
- 困難にあってもすぐ諦めない人
これに1つ足すなら、看板で選ぶ人には向かない。
「ITコンサル」という名前で選ぶと、俺みたいに月曜の朝からJavaを調べることになる。
行く前に確かめる順番
俺は求人票の看板しか見ていなかった。同じ間違いをしないための順番を書く。
① 求人票を、募集の幅として読み直す
サービスは要らない。自分で今すぐできる。
その求人票に「コンサル」という言葉が何回出てくるかを数える。
俺の求人票はゼロだった。数えていれば、入る前に分かっていたはずだ。
② 求人を見てみる
リクナビNEXTあたりで、同じ職種の求人を何本か並べるだけでいい。
ここは軽くでいい。人と話さなくていいし、応募しなければ何も起きない。
③ 自分の市場価値を確認する
俺が1回目の転職で数字を見たのはミイダスの無料診断だった。
人に会うのはまだ気が重い、という人はここまででいい。
④ エージェントに相談する
正直に言うと、いちばん効くのはここだ。俺が1回目も2回目も相談の本体に使ったのはリクルートエージェントだった。
診断で出るのは相場だ。求人票に出ているのは募集の幅だ。
その幅のどこに自分が入るかは、経歴を見た人にしか言えない。
聞くだけ聞いて、動かなくてもいい。
①から④まで全部やれ、とは言わない。③まででも十分だ。
ここまでやると、その会社に入った自分が、月曜の朝に何をやっているのかが見えてくる。
その数字があると、求人票の「500万〜1000万」が自分にとって何を意味するのかを考えられます。
⚠️ 正直に書くと、出た金額がそのまま提示される保証はありません。それでも、比べる基準が1つできれば十分です。
人に会うのが重いなら、ここまででいい。それでも、看板だけを見ている状態からは抜けられる。
まとめ:確かめるのは看板じゃなく、月曜の朝だ
ITコンサル会社に4ヶ月いた結果を並べる。
- 1週間の9割は、手を動かすのと調査
- 会議は1日30分の定例だけ。コンサルらしい仕事は1つも無い
- 残業は毎日30分。休日出勤は無い
- 経営のプレッシャーは無い。技術のキャッチアップは要るが、楽しい
- 求人票に「コンサル」の語は1度も無かった。入る前から書いてあった
- 配属は、その求人票の製品ですらなかった
- それでも後悔はしていない。給与が望んでいた金額だから
「やめとけ」かどうかを決めるのは、俺じゃない。
ただ、やめとけの理由に挙がっている4つは、少なくとも俺には当たっていなかった。
当たっていたのは、看板と中身の差だけだ。
確かめるべきなのは、会社の名前じゃない。その会社に入った自分が、月曜の朝に何をやっているかだ。